2019年09月04日

厚生省予算に、赤ちゃんの聴覚検査と早期支援




厚生労働省の令和2年度概算要求に

難聴対策が盛り込まれました。

「令和2年度予算概算要求の概要」

8ページに

「新生児聴覚検査及び難聴児早期支援の推進、

児童発達支援センターの地域支援機能強化等による

インクルーシブな支援の推進、

医療的ケア児への支援の拡充」

と記されました。










平成29年度

厚生労働省子ども家庭局母子保健課調べ

「新生児聴覚検査の実施状況について」で

市町村における出生児に対する初回検査の

公費負担を実施している市町村は

22.6%にとどまっている現状がわかりました。

赤ちゃんとそのお母さんが

経済的な理由で受検しない

ということのないように、

検査の公費負担が課題となっていました。



また、

検査により把握した要支援児に対して

療育が遅滞なく実施されるための

指導援助をおこなっている市区町村は

57.8%でした。

検査から療育につなげる体制整備も

課題とされていました。



こどもの難聴は

早期発見が大切で、

聞く力や話す力をつける練習を

早くに始められるほど

ことばを十分に獲得し、

スムーズにコミュニケーション

できるようになり、

こどもの可能性がより広がります。



難聴があるとわかったら、

本当は、

保健・医療・福祉・教育など

さまざまな分野において

連携した支援、

新生児期~乳幼児期~学齢期の

一貫した支援体制が必要です。



しかし日本では、まだ、

難聴を発見する手がかりとなる

初回の新生児聴覚検査の実施自体が

すべての赤ちゃんへ

実施されているわけではないため

赤ちゃんの難聴が

見逃されているケースがあります。

一部の欧米のように、

検査は義務付けられていません。



そして、実施されていても、

そのほとんどの方々はお母さんの自費で、

公費負担をしている市町村はわずか22.6%

という現状です。



実際、難聴児の親御さんからは

経済的な支援、

物理的な支援、

情報の支援、

心理的な支援など

多角的にもっと良くなってほしい、

という声があがっています。



今回、厚生省の概算要求に

「新生児聴覚検査」や

「難聴児早期支援」が

盛り込まれ、

検査の体制整備事業の予算が

組まれたことは良かったです。




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皆様へ、



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2019年06月08日

政府、新生児の難聴の早期支援策




難聴児とそのご家族への早期支援策の検討を進めるため

厚生労働省と文部科学省が連携して

「難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト」が

平成31年3月に立ち上がりました。

令和元年6月7日、その策がまとめられました。

各都道府県に支援相談機関を設置し、

新生児聴覚検査の実施率向上に向けて

来年度予算への反映を目指すそうです。






一般的に、こどもは聴覚をとおして言語の獲得をしていきます。

言語は知識、思考、知能の土台をつくるものとされています。

生まれてはじめて難聴の可能性を調べることができる検査が

新生児聴覚スクリーニング検査です。



日本耳鼻咽喉科学会や日本産婦人科医会も

この検査を重視していますが、

自治体によって助成金の有無があり、

地域によって受診率の差が出ていることが課題の1つです。



日本産婦人科医会の

「新生児聴覚スクリーニング検査 全例検査にむけて10年の歩み」の中には


「難聴は早期発見・早期介入によって

 難聴者の生活の質は大きく改善することは明らかであり、
 
 わが国のすべての新生児が

 この検査に無料でアクセスできる体制の構築が必要である」




とまとめられています。








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過去のブログ記事

【新生児の難聴、早期支援に関して】



2018年9月15日
新生児の検査・支援はこどもの可能性を広げる
https://pia3322kikoe.ti-da.net/e10711482.html



2018年10月19日
こどもの難聴(就学前検査、校医検診、公費制度)
https://pia3322kikoe.ti-da.net/e10770591.html



2018年10月21日
先天性難聴の早期発見・早期対応
https://pia3322kikoe.ti-da.net/e10773181.html



2019年4月15日
療育環境の整備を目指す議連発足
https://pia3322kikoe.ti-da.net/e11059729.html





  


2018年10月21日

先天性難聴 、早期発見・早期対応で ”きこえ” は改善できる時代に




赤ちゃんが、生まれつき難聴を伴っていることがあります。

先天性難聴といいます。

先天性難聴の原因は、

約半分が妊娠中の感染症、

残りの半分が遺伝子だといわれています。





先天性難聴は15年ほど前までは早期発見が難しいものでした。

2~3歳になって発語が悪いのに気づき、

検査を受けて難聴と分かるのが大半でした。

最近は新生児聴覚スクリーニングという検査によって

生まれて数日後には

難聴の可能性を調べることができるようになりました。

早期発見のみならず、

最近は聴力を改善できるようにもなってきました。





難聴の診断が確定したら、

生後6か月以内に療育を開始することがのぞましいとされています。

「聴覚障害児の療育等により

言語能力などの発達を確保する手法の研究」では、

生後6か月以内に「療育」を開始すれば

その後、良好なコミュニケーション能力を得られる可能性が

3倍高くなるとあります。





「新生児聴覚スクリーニングの効率的実施

および早期支援とその評価に関する研究」では、

重い難聴でも知的能力に差がなければ、

生後6か月から早期教育を受けた場合、

6歳になったときに獲得した語彙力は、

難聴のない子どもと同レベルであることがわかりました。

コミュニケーション能力を高めるために、

療育では、

補聴器を使って言葉の刺激を与えることが大切とされています。






補聴器の対象年齢は0歳からで、赤ちゃんの聴力に合わせて選びます。







補聴器を使って言葉の刺激を与えるのが大切なので、

軽度の難聴であっても補聴器の使用は推奨されています。

多くの自治体で

「軽度・中等度難聴児に対する補聴器購入費等助成」

の制度があります。

沖縄県でも約7割の市町村が実施しています。





補聴器を使っても効果が得られない場合には

人工内耳があります。

最近は人工内耳の性能が進歩して

重度難聴の子どもも、

聴力の劇的な改善が期待できるようになりました。





子どもの人工内耳の場合は、

1歳以上で両耳とも90dB以上の重度難聴が適応とされています。

2016年度からは、手術が保険適用となりました。

日本では18歳未満の人工内耳利用者は約2,500人いるそうです。

そのうち、

手術を受けても効果がない/非常に効果が乏しいケースは約1%。

そのぐらい人工内耳の性能は進歩しています。





このように、

昔は “発見” も “改善” も難しいとされてきた先天性難聴は、

“早期発見” 、“聴力の改善”

が期待できる時代になりました☆








※今回のブログは

「子どもの難聴」 日本耳鼻咽喉科学会 専門医 福島邦博氏

「ママと呼んで欲しいから」 京都大学名誉教授 本庄巌氏 監修 からの

引用・参考とさせていただきました。







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