2019年10月17日

聴覚は、ほかの感覚に置き換わる?


聴覚は、ほかの感覚に置き換わる?



耳から音や言葉が入ってこないことで

脳に変化が起きる、

という研究結果が今年発表されました。



朝日新聞出版

「よく聞こえない」ときの耳の本2020年版より

ご紹介させていただきます。





◆◆◆――――――


耳から入ってくる音や言葉が遮断されると、

脳は変化し、感覚の働きは

視覚や触覚など別の感覚機能に置き換わる。



それを裏づける研究結果が、

アメリカのコロラド大学ボルダー校

言語聴覚学科教授の

アヌ・シャルマー博士によって発表されました。



たとえば、

耳が聞こえない聾者の場合、

聴覚をつかさどる脳の皮質(聴皮質)エリアは、

視覚情報処理のために使われるようになり、

脳自体も変化するといわれています。



「聞く」機能が「見る」機能に置き換わる

というもので、成人聾者では、

エビデンス(科学的根拠)が示されています。



脳に入力がない状態が続くと、

その感覚機能が使われないため、

ほかの感覚機能の働きを

するようになると考えられます。



シャルマー博士は、

この脳の変化が、

軽度・中等度の加齢性難聴の人にも

起きるのかを研究。



難聴がある人は、

脳の聴皮質の容積が減少し、

視覚、触覚(体性感覚刺激)へ

機能が置き換わっていることを明らかにしました。



また脳内の皮質ネットワークに

変化が起きることで、

認知能力に影響を与える可能性もある

という見解を示しました。



「難聴初期では、感覚遮断から3カ月で

すでに脳の変化が起きていました。

また、適正にフィッティングされた補聴器を装用し、

早朝介入をおこなうことで

皮質ネットワークの変化を

元に戻すことができると立証できました」

(シャルマー博士)



このことから、

耳から脳への入力が、

脳の機能を維持するうえで

重要であることがわかります。



本誌のインタビューに対し、

シャルマー博士は

「臨床現場において、今後、

補聴器をフィッティングする際に

脳の変化についても評価していくことが重要だ」

と指摘しました。


◆◆◆――――――





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Posted by 補聴器のぴあ at 14:26│Comments(0)● お知らせ● 耳、きこえ
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